風信 #01



別れて来た道がまつすぐ (山頭火)

from 2002 note

パソコン情話  ターミネーター2
1月15日、愛用のWindows98SEがぜいぜいと苦しそうな声を上げたのち 「No System」を表示して静かになった。その声は今までに何度か聞いたことがある。ハードディスクの円盤の回る音があえぐような苦しい声に聞こえ、ある日突然、無言の終末が訪れる。

なでてみたり、ふってみたり、たたいてみたり・・・
ここ2~3ヶ月のあいだに何回かの発作があったが、その度、何事もなかったかのごとく蘇えり、重症であったことも忘れているかのように動いてくれた。

不安定さが売り物のWINDOWSシステムは「OS」としては好きではないが、MSDOS的に贅肉をそぎ落とした僕のWindows98SEは他のどんなMEやXPよりも安定して使えていた。

DOSやLINUXと違って、こんなに不安定なシステムの中で、個々のユーザーのニーズにこたえるべく働いているWINDOWSマシンたちを不憫に思い、「あんたらはエライよ」とシンパシーを感じるようになってきた矢先だった。

使えないものは惜しげなく捨てていく性格なんだけど、ゴミの日に手に取ることができなかった。捨てられない自分に驚いている。

今も机の上のいつもの場所に、すぐ使えるように置いてある。
あの「ターミネーター2」の映画の中で、死んだと思われていたマシンのインジケータが突然点滅しはじめ、マシン自身の自己回復機能で再生したように。
僕のコンピュータもいつかまた復活するだろう…

 

 

パソコン情話 007のサイレンサー
コンピュータ2台を分解して、使えるパーツと買ってきたユニット箱とマザーボードを組み合わせて WindowsMEマシンを組み立て、どうにか仕事をこなせる状況は作ったので、仕事の体制には問題がなくなったのですが、使い慣れてくると冷却ファンの音が少々うるさいことに気がついた。

人間何が悲しくてコンピュータで音楽を聴くんだ、と思っているが、なにか他の音を出さないと冷却ファンの音がうるさくて気が散るので、コンピュータで音楽を聞かざるを得なくなった。007のサイレンサーがほしいな

むかし子供のころ2B弾という火薬を集めて、板を鉄砲の形に削り、傘の柄のパイプを切り取り銃身にして玉を飛ばしていたが、007のワルサーP38に取り付けてあるようなサイレンサーをまねて、音を小さくしようと一回り大き目のパイプに穴を開けてとりつけたところ、確かに音は小さくなったが、玉も飛ばなくなった…

 

 

映画 活きる
あの生活者のしぶとさ・たくましさは中国4000年の歴史の変遷にも堪えて生きることのなかから生まれてきたんだろうと納得させられる。生活者にとっては清朝であろうが、共産党であろうが、国民党であろうが関係ないし、紅衛兵時代もあんな風に描ける「したたかさ」はすごい。
この逆のポジティブさでインテリは生きて帰れないのが分っていても、なおかつ「革命のために・・」などといって自己批判に出ていくのは相も変わらず悲しい性か。
「生活」を相対化できない「思想」はいつまでたっても「生活」を呪縛する、この倒錯した思想構造はどこまでも密通していくんだろう。どんな体制であろうと生活者はしたたかに生きていく…
中国へまた行くことがあればあの「影絵劇」を見てみたいな。

 

 

春うらら

74歳のおばあちゃん
桜咲き、ぽかぽか天気
気持ちよくとろとろ歩く僕より
電動車椅子のほうが早いかな

今日は二人してパソコンを
買いに行く日

家にいくと、もう外でまっていた
天気がいいので歩いていくことになった

元気は伝染するみたい
僕の周りの時間と空間が変容して
二十歳のころの自分が彼女と
デートしているようなうきうきした気分になる

高速道路も軽自動車で
ひとりではしる
アクティブなおばあちゃん

今の家に引っ越してきたときも
22歳の猫の縄張りを確保するために
猫とともに真夜中の散歩を
したという猛者でもある

こころが拡がれば世界も拡がる
パソコンも同じ

 

 

昭和新山

駅のホームからタバコを吸う風景が消えてしまいました
風景から生活が切り取られていくような感じ…
公共の…環境の…
どんどん逆立ちしていく共同性

自然は風景として
どんなものでも抱きかかえるように
受け入れ包摂してくれます
なんでもありの面白さ
豪華さだと思います

北海道であの異形の
昭和新山を見たとき
異和が異和として調和している風景に
自然って「なんでもありなんだ」
と感動しました

なんでもありの風景の中から異和が
ひとつひとつ排除されていくのは
曲がりなりにも多様性が
容認されていた空気が
閉じていこうとしているような気がします

世界は閉塞感でアップアップ…

駅のホームの片隅の支柱の周辺に
吸殻が4本落ちていました
その汚れのなかに生活の匂いを感じて
なぜかうれしくなりました

高校の旅行のとき、みんなから
わざとはぐれ神社の裏でタバコを吸っていたら
教師もこっそりビールとタバコをのんでいた
お互いに照れくさそうに笑った
なぜか教師はビールも分けてくれた
人間臭さくていいなと思った

それ以後、その教師の授業は
目と耳をあけとかなければ悪いと思いながら
睡魔と闘い続けた…

 

 

ネパールの友達からのメール
からだに気をつけないと。しらはまさんは大丈夫かな。すきな仕事しているし。酒もそんなに飲んでないよね。飲む金がないのもいいことだ。今貧乏なネパール人たちと暮らしていますが、のんべえ4人でビール2本、とか、ウイスキーの超小瓶1つとか、自家製ロキシーペットボトル4分の1とか (すぐ飲んでしまうので満タンは買ってこない) みんなで分け合って飲んで、足りないぞ、くらいで終わっても、みんなで寄り添って飲めば、なんか酒飲んだ気になるものです。酒ってシチュエーションだね。
…………………………………………
ほほえましい生活風景だね…

 

 

「車椅子」
徳島 夏 阿波踊り
「寝たきりになら連」
車椅子で阿波踊り

ボランティアで車椅子を押すことになった

高次脳機能障害のHさんは
動きも話も変幻自在

Hさんは車椅子にのるより押すのが好き
付き添いの施設のケアワーカーと密談して
演舞場のなかを踊りながら移動するとき
僕が高次脳機能障害のHさんになって車椅子にのり
Hさんがボランティアになって
車椅子を押すのがベターだということになった

Hさんは2度ほどあらぬ方向へ行きかけ
僕もそのたびに立ち上がりかけたけど
お互いに、どうにか事なきを得ました

Hさんはボランティアの役割を全うし
僕も事務局や会場の人たちにばれないように
車椅子での阿波踊りを全うした
こんな番外ボランティアもあっていいよね

 

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